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合同会社設立手続の基本~定款への記載事項や登記すべき事項など~

近年は“合同会社”を設立する事例も増えています。
会社法で設けられた比較的新しい会社形態で、今のところ株式会社が代表的な会社形態ではあるものの、これに次いで設立件数が多くなっています。合同会社ならではの強みがあり、株式会社として設立する特段の必要性がないのであれば有力な選択肢として挙がってくることでしょう。

そこでこの記事では、合同会社を設立する際の基本的な手続について、株式会社との比較を交えつつ解説をしていきます。

目次

合同会社を設立する基本的な流れ

合同会社でも株式会社でも、定款の作成から始まり、出資の履行、そして設立登記により成立するという基本的な流れに違いはありません。

しかし各ステップの詳細を見ていくと、その違いに気が付きます。

なお、株式会社の基本的な設立手順についてはこちらの記事で解説しています。

定款の作成

合同会社という会社形態は、定款の記載により定まります。

法的に記載を欠かすことが認められていない絶対的記載事項の内容を見てみましょう。

この最後の事項を記載することが、合同会社であることを基礎づけているのです。
なぜなら合同会社は持分会社のうち社員のすべてが有限責任社員である会社であるからです。

もし社員の一部が無限責任社員となれば、起業者が合同会社のつもりで立ち上げたとしても、その会社は合資会社として成立します。社員の全部が無限責任社員となればその会社は合名会社として成立します。

その他、必要に応じて“相対的記載事項”、“任意的記載事項”についても記載しましょう。

相対的記載事項(定款に規定を置かなければ効力が生じない事項)

任意的記載事項(定款への記載が効力発生要件ではない事項)

定款の記載事項が決まれば、最後に社員となる者全員の署名あるいは記名押印を行います。

そして株式会社では求められていた定款の認証手続は合同会社では不要です。このことに伴い、公証人に支払う手数料も不要となります。

出資の履行

会社の立ち上げ段階で将来社員となる者は実質定まっていると言えるでしょう。しかし形式上はまだ社員ではありませんし、その資格も得ていません。

そこで社員となろうとする者は、定款の作成後、設立登記をするまでに出資金の払い込みをしなければなりません。

そして払い込んだことを証明するため、払い込まれた口座の通帳の写しを取得しておきましょう。通帳の表紙および口座番号や口座名義人などが載った表紙裏もコピーします。

設立登記の申請

本店の所在地で設立登記の申請を行います。これにより法人格が得られます。

合同会社の場合、以下の事項につき登記が必要です。

当然ながら、株式会社のように株式に関する事項は考慮する必要もありません。

また、上記事項を記載した登記の申請書の他、以下の添付書類も提出しなければなりません。事前に用意を進めておきましょう。

合同会社の設立で必要な費用

合同会社の設立にあたっては、定款作成に係る印紙代4万円と、設立登記に係る登録免許税が必要です。

登録免許税の額は株式会社と同じ「資本金額×0.7%」で計算されるところ、最低額は6万円と定められており、株式会社の最低額である15万円とは大きな差があります。

また認証手続に要する5万円は不要ですし、電子定款として作成すれば印紙代も支払う必要がなくなります。

そのため、合同会社だと株式会社より低コストで起業ができると言えるでしょう。

株式に関する事項、株式の割当て、発起人以外の株式引受人のこと、創立総会のことなども考える必要がありませんのでその意味でもスピーディーに立ち上げやすくコスパが良い会社形態と考えられます。

会社設立後の手続

設立手続のほか、設立後に必要になる手続もあります。特に従業員を雇う場合には多くの手続が必要になります。これらは株式会社であっても合同会社であっても大きな違いはありません。

例えば以下のような手続は忘れずに行わなければなりません。

税金関連の届出は常に必要で、従業員がいる場合には社会保険関連・労働保険関連の手続も要することになります。

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