【アーリー期】ベンチャー企業が押さえておきたい資金調達の手法

アーリー期ではマーケティングや販売活動が始まり、多くの資金が必要になる一方で、シード期同様簡単に融資を受けることはできません。
そこで資金調達の手法もいろいろと模索し、自社に適する形で実行していかなくてはなりません。

ここではアーリー期に着目し、比較的採用しやすい資金調達の手法を紹介していきます。

目次

アーリー期の資金調達1:エンジェル投資家や補助金

アーリー期においては、シード期同様自己資金エンジェル投資、そして補助金などが引き続き資金調達の手法として要になってきます。

※シード期における資金調達のポイントはこちらを参照

VC(ベンチャーキャピタル)による投資は主にミドル期以降とされており、銀行からの融資に関しても相当の成長性が評価されてからでなければなりません。

アーリー期であれば事業を初めて数年になるためシード期に比べるとやや資金調達も安定してきますが、それでもやはり苦労するポイントでもあります。
実際、倒産が増えるのはこの時期です。
事業を初めてから数年も経てば1,2割は倒産しているとされ、その理由として代表的なのが資金難です。

そこで、エンジェル投資や補助金の活用も重要ですが、いつまでもシード期と同じ手法に頼るのではなく、他の手法も模索していくことが大事です。
そもそもアーリー期にはシード期よりも大きな支出を伴い、個人であるエンジェル投資家だけのサポートでは力不足です。

アーリー期の資金調達2:日本政策金融公庫

アーリー期では「日本政策金融公庫」の事業に着目しましょう。

日本政策金融公庫は100%政府出資の金融機関で、民間金融機関の補完的役割を担っています。そのためまだ事業を初めて日が浅く、一般的な金融機関からの信頼が得にくい時期から資金調達の手段として採用しやすいです。

「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」という3つの事業を行っており、特にアーリー期のベンチャー企業で確認しておきたいのは国民生活事業の1つである「資本性ローン」です。

挑戦支援資本強化特例制度」としてベンチャー企業、新事業展開などに取り組む企業の資金調達のサポートを行っています。この制度では保証人も担保も必要なく、最大4,000万円 の融資が受けられます。ポイントは、借入金を負債としてではなく自己資本とみなすことができる点にあります。

そのためベンチャー企業の自己資本が強化される形となり、企業の信用力は向上、その後民間金融機関からの調達も進めやすくなります。

この制度に関しては、日本政策金融公庫のWebサイトに詳しく掲載されています。

アーリー期の資金調達3:クラウドファンディング

資金調達の難しい時期ですが、広く共感を得ることで、クラウドファンディングによる資金調達が成功させられるかもしれません。近年はベンチャー企業のシード期やアーリー期における新しい資金調達の方法として期待されています。

インターネット上で応募をかけ、企業に小口の資金が流れてくるという仕組みです。一つ一つは小口ですが、告知方法によっては多数の支援が得られる可能性があります。

また、クラウドファンディングに際して事業内容を公表することで、それ自体に宣伝効果も期待できます。

なお「寄付型」「ファンド型」「貸付型」といった類型があり、国内で主流とされているのは貸付型です。株式の購入ができる「株式型」という類型も注目を集めるようになってきており、これを活用できれば上場していないベンチャー企業でも大きな資金を得られるチャンスとなるかもしれません。

VCからの資金調達にも期待

VCによる投資は主にミドル期以降と考えられていますが、この傾向も少しずつ変わりつつあります。長い目で見てみると、様々な政策や取り組みにより、アーリー期におけるVCからの投資額は増加しています。

未だあらゆる企業が活用できる手段とは言えませんし、この時期から投資を受けるのであれば高い成長性が見込まれなければなりませんが、従来に比べて活動資金を得やすくなってきているのです。

なお、VCにもいろいろと種類があり、企業の特性や成長ステージによっても最適な手段は変わってきます。アーリー期で有効なものとしては銀行系VCが挙げられます。

アーリー期から銀行系VCから資金調達することの利点としては、銀行ネットワークからの支援が受けられることが挙げられます。メガバンクの子会社であるVCから資金の提供を受けることで企業側は大手グループからの経営支援、株式上場の支援といったサービスを受けられるようになります。アーリー期から銀行系VCにお世話になっていることで、IPO対策も早期に取ることができるのです。また、その後経営が安定した際には銀行からの借り入れもしやすくなるという利点もあります。

銀行系VC側としてもアーリー期のベンチャー企業を支援することにはメリットがあります。例えば、将来が有望な企業への囲い込みが早期に実行できるといったことが挙げられます。

アーリー期はまだ創業間もなく実績があまりないにも関わらず支出が増える時期でもあるため、資金調達が非常に重要になってきます。ベンチャー企業を支援してくれる制度や事業は世の中にたくさんありますので、情報収集も忘れず行うようにしましょう。

非公開コンテンツを無料で購読しましょう。