起業後の株式希薄化に注意!持株比率に配慮した資金調達方法について

起業後、事業を本格的に始めるにあたり資金が必要になります。しかし、これから事業を始めようとしている段階だと利益が出ていませんので、どこからか資金を集めなくてはなりません。

この点、株式会社なら株式の発行により大きな規模で資金調達を行うことが可能なのですが、その際には株式の希薄化に注意が必要です。
そこでこの記事では、起業後の持株比率に配慮した資金調達の方法について解説していきます。

目次

出資による資金調達では持株比率に注意

出資を受けることで資金調達は実現できます。

しかし株式は単に出資のツールとして機能するだけでなく、基本的には経営権も付いた社員としての資格でもあります。そのため創業者らだけで経営をしていきたいのであれば、安易に発行すべきではありません。

創業メンバーの持株の比率が一定程度を下回ると自由に意思決定ができなくなります。特に「2/3未満」「1/2以下」の基準には要注意です。
前者は特別決議の可決要件ですので重要事項をメンバーらだけで決することができるかどうかに関わってきます。
後者は普通決議の可決要件ですので、株主総会を要する基本的な事項を決めることができるかどうかに関わってきます。

詳しくはこちらも参照

そこで、少なくとも過半数は維持できるようにしておかなくてはなりません。

また、株式の発行数が増加することにより1株あたりの価値が下がってしまう可能性もありますので、その意味でも注意が必要でしょう。

別の資金調達の検討も大切

株式の発行に関しては慎重に検討しつつ、その他の手段についても検討を進めていきましょう。主な手段として以下が挙げられます。

自己資金の準備が基本

創業者が持つ個人的な資産を自己資金として使うのがもっとも安全です。

個人的なリスクはあるものの、資金調達の失敗など考える必要がありません。また自己資金の割合を大きくすることで経営権の保持ができますし、外部の人に口出しされず自由な経営が実現できます。

金利の負担がないこと、資金調達先とトラブルになるリスクなどもありません。

クラウドファンディング

最近だとクラウドファンディングも有効な資金調達の手段と言えます。

自社が実現したいことを提示し、周知させ、共感を得ることで小口ながら多数の方からお金を集めることができます。

クラウドファンディングなら大きなリスクを負いませんし、自社を応援してくれる人を集めることができ、今後のサポーターになってくれることも期待できます。

他方、協力してもらうのは簡単ではなく、特徴的な事業内容であったり強いアピール要素があったりしなければ大きな額を募ることは難しいです。

借入

借入は資金調達の手法としても基本的なものです。

例えば創業者個人でローンを組むケース、法人として融資を受けるケース、親族や友人などから融資を受けるケースなどが挙げられます。

個人でローンを組む場合、事業が本格的に始まる前であっても個人の信用力を使って調達ができる面にメリットがあると言えます。しかしながら利息の高さや調達できる規模が小さくなってしまいがちです。

とは言え法人として融資を受けるにしても、事業開始段階では受けることは難しいでしょう。

そこで親族や知人等から借入をするというやり方もあります。

融通が利きますし、厳格な審査などを行う必要もありません。しかしながらきっちりと説明をしておかなければ後々トラブルになってしまうこともありますし、取引先とのトラブルと違って私生活にも支障をきたすおそれがあります。

日本政策金融公庫を利用

起業時点、起業から間もない時点でも、日本政策金融公庫の行う事業を利用すれば融資を受けられるかもしれません。

起業向けの融資制度もありますし、その他事業者を支援する制度が多く用意されています。

起業前でも利用ができること、担保や保証人を付けなくても借りられること、審査の結果が出るまでの期間が短いなどのメリットが得られます。

助成金・補助金

助成金や補助金が利用できるかどうかも必ずチェックしましょう。

要件を満たしていれば、所定の手続を行うだけで返済不要の資金を得られる可能性もあります。

どのような制度があるのか、国の事業あるいは地方自治体の事業など、多方面を探すと良いでしょう。事業内容別に用意されていることや創業間もない時期にだけ利用できるケースもあります。今しか利用できない制度があるかもしれません。

ただし常に募集しているとは限りませんし申込可能な期間が設定されているなどの制限もあります。また後払いとなることが多いため、補助金や助成金のみを資金調達の手段とすることはできません。ある程度の資金の存在は前提となります。

自社に適した資金調達の方法は専門家に相談を

結局のところ、どうやって資金調達をすべきかは企業の状況や事業内容によっても変わってきます。そのため自社に最適な方法を模索するため、専門家に相談することがおすすめされます。スタートアップを支援する事業者、あるいは弁護士や税理士、その他様々な専門家がいます。

非公開コンテンツを無料で購読しましょう。